
青森より。
いつも青森からの荷を開けるのを楽しみにしている。
今回は林檎と一緒にお菓子とフランスパンが入っていた。
何気なくそのフランスパンを取り先日のことを思い出す…。
仕事が終わりいつものズクで一杯引っかけ、その流れで街へと繰り出していた。
何軒か知り合いの店を回りついつい調子に乗りすぎ飲み過ぎていることに気づいた。
疲れも重なってかフラフラで歩けないくらいまで深酒をしてしまった。
どうしても自分一人で帰宅することが困難だったため近所に住むヒィちゃんに連絡し迎えに来てもらうことに…
何も文句言わず迎えに来てくれたヒィちゃんに申し訳なさと愛くるしさが交差し羞恥心だけが空気を支配していた。
こんな歳の離れた若いコに担がれて帰るなんてなんて情けないんだ…
せめてこの重苦しい空気だけでもなんとかせねば…
とヒィちゃんに、
「なにか好きな食べ物ないの?オジさんご馳走してあげるよ?」
『フランスパン買って!』
「なんでフランスパン?」
『青森いた頃から大好きだったから!』
「100個でも200個でも買ってあげるよ。なんか今日は申し訳ないね…」
『たまにはショウちゃんも酔わなきゃでしょ!』
そんな会話を繰り返しながら彼女の残り香とともに家まで運んでもらった記憶がある。
それからというもの年末商戦の営業だなんだと忙しさに追われ時間だけが足早に過ぎていった。
そして今日こうして青森のお母さんから届いた荷を開けふと思い出したのだ。
そう、箱のなかのフランスパンを眺めてるとなんだか懐かしい母の匂いを感じ取ることができる。
俺ですらすっかり忘れていたフランスパンを、娘の好物だと覚えて送ってくる母の優しさに心を打たれる…
お菓子のポッキーやチーズも彼女の大好きな種類ばかり選んで詰めてあった。
きっといくつになっても娘のことを一番に想い、これからもこうして無上の愛を送り続けるのであろう。
当店ではその娘への想いが詰まった箱のおすそ分けをいつも頂いている。
とてもありがたい反面、なんだか申し訳ない気持ちにさいなまれる。
本当はこの箱を一番に開けなきゃいけないのはヒィちゃんなのではないだろうか?
いつもそう感じながら箱を開けている。
何度か送られてきた青森からの荷のなかで今回のものが一番それを感じさせられた。
長々と読み取りにくい文ではあるが、感謝の気持ちを込めての執筆。
この母の想いがたくさん詰まった箱の中とフランスパン…
責任を持って彼女に届けます。
お母さんいつもありがとうございます。
とりあえず八王子店 山岸